(マンガシナリオ) 白雪姫は喋らないー口下手な姫くんは怖そうだけど優しいですー
9話 怒ったお姫様
あの後良二さんにより召喚された白雪くんは一緒に飲み会行って来たらの一言で私に何か理由を聞くでもなくただ頷いてくれた。
「カンパーイ! それにしてもほんとに来てくれると思わなかったよ姫くんー」
「…………白雪です」
そして飲み会当日、それなりにみんなお酒が入ってきた頃だった。
最初こそ色々な人から声をかけられたものの白雪くんはいつも通りの反応で、それがつまらないからなのかすぐにいつもの集団にそれぞれが帰っていきはっきり言ってあからさまに私達二人だけが浮いていた。
そんな頃、白雪くんを連れてこいと言った件の先輩が白雪くんに絡み出す。
「ごめんごめん、白雪くんね、君写真好きなんでしょ? 写真サークル興味ない?」
「……オ、レは……得意じゃない……ので、団体……行動……」
先輩の勧誘に白雪くんは身を引きながらなんとか返事を返すものの
「何々? 聞こえなかったや、もう一回いい?」
「っ……」
酒の回った先輩には白雪くんの小さい声は聞き取れないようで
「あ、せ、先輩! 料理来てますよ!」
私は慌ててちょうど届いた料理を先輩に押し付ける。
「あ、ほんとだー」
「……ご、ごめんね」
そちらに気が行った隙に私は白雪くんに謝る。
やっぱり、連れてくるべきじゃなかった。
「……いや、こちら……こそ……っ……」
「白雪先輩ってー、かっこいいですよねー、何か運動されてるんですか? バスケとか」
なんとか先輩を引き剥がせば今度は後輩の女の子がそんなことを聞きながら白雪くんとの距離を詰める。
ドキっと心臓が音を立てる。
何か、理由は分からないけど嫌な気分になる。
「と、特に……何も、してない……けど」
「えー、それでそんな身体大きいなんてすごいですねー、腕触ってもいいですかー?」
「っ……いや、その……」
「こ、困ってるから、止めよ?」
なんとか問答を続けている白雪くんに今度は触れようとする女の子を私は止める。
これは、白雪くんが嫌がっているからだ……いや、嘘、私がただ、触られたくないだけだ。
「……白雪先輩、朱谷先輩の写真見たことあります?」
「っ……」
それが気に入らなかったのだろう女の子はふと、あのときと同じ話題をあげる。
「も、もちろん……ある、けど……」
「毎回毎回同じような風景写真ばっかりで、見てて飽きますよねあれー」
「……」
前の時は周りの反応ばかり気になったのに、今は白雪くんは一体、何を言うだろうか、そんなことばかり考えてしまう、それなのに当の白雪くんはただ珍しく、何を考えているか分からない表情で女の子を凝視していた。
「前もそういう話になったんですよー、人は撮らないってなんかプロみたいなこと言ってて、笑っちゃう――」
「オレは思わない」
「……え」
白雪くんの凛とした言葉が女の子の言葉を遮るように発せられて驚きの声を漏らしたのら私だった。
「オレは、朱谷さんの写真を見て、飽きるとか、つまらないとか、感じたことは一回もない、オレは……朱谷さんの優しい写真が、好きだから」
「白、雪くん……」
初めて、白雪くんがこんなはっきりとしゃべるところを見た。
一回もつっかえることなく、周りに響くような声で、おどおどすることもせずに全てを言いきった。
「い、行こう朱谷さん、オレ達、今日は帰ります……」
しん、と静まり返った中白雪くんは言いながら座席から立ち上がると私の手を迷うことなく取る。
「え、ちょっ……白雪くん!」
そして、私の制止も無視してそのまま居酒屋を後にした。
「カンパーイ! それにしてもほんとに来てくれると思わなかったよ姫くんー」
「…………白雪です」
そして飲み会当日、それなりにみんなお酒が入ってきた頃だった。
最初こそ色々な人から声をかけられたものの白雪くんはいつも通りの反応で、それがつまらないからなのかすぐにいつもの集団にそれぞれが帰っていきはっきり言ってあからさまに私達二人だけが浮いていた。
そんな頃、白雪くんを連れてこいと言った件の先輩が白雪くんに絡み出す。
「ごめんごめん、白雪くんね、君写真好きなんでしょ? 写真サークル興味ない?」
「……オ、レは……得意じゃない……ので、団体……行動……」
先輩の勧誘に白雪くんは身を引きながらなんとか返事を返すものの
「何々? 聞こえなかったや、もう一回いい?」
「っ……」
酒の回った先輩には白雪くんの小さい声は聞き取れないようで
「あ、せ、先輩! 料理来てますよ!」
私は慌ててちょうど届いた料理を先輩に押し付ける。
「あ、ほんとだー」
「……ご、ごめんね」
そちらに気が行った隙に私は白雪くんに謝る。
やっぱり、連れてくるべきじゃなかった。
「……いや、こちら……こそ……っ……」
「白雪先輩ってー、かっこいいですよねー、何か運動されてるんですか? バスケとか」
なんとか先輩を引き剥がせば今度は後輩の女の子がそんなことを聞きながら白雪くんとの距離を詰める。
ドキっと心臓が音を立てる。
何か、理由は分からないけど嫌な気分になる。
「と、特に……何も、してない……けど」
「えー、それでそんな身体大きいなんてすごいですねー、腕触ってもいいですかー?」
「っ……いや、その……」
「こ、困ってるから、止めよ?」
なんとか問答を続けている白雪くんに今度は触れようとする女の子を私は止める。
これは、白雪くんが嫌がっているからだ……いや、嘘、私がただ、触られたくないだけだ。
「……白雪先輩、朱谷先輩の写真見たことあります?」
「っ……」
それが気に入らなかったのだろう女の子はふと、あのときと同じ話題をあげる。
「も、もちろん……ある、けど……」
「毎回毎回同じような風景写真ばっかりで、見てて飽きますよねあれー」
「……」
前の時は周りの反応ばかり気になったのに、今は白雪くんは一体、何を言うだろうか、そんなことばかり考えてしまう、それなのに当の白雪くんはただ珍しく、何を考えているか分からない表情で女の子を凝視していた。
「前もそういう話になったんですよー、人は撮らないってなんかプロみたいなこと言ってて、笑っちゃう――」
「オレは思わない」
「……え」
白雪くんの凛とした言葉が女の子の言葉を遮るように発せられて驚きの声を漏らしたのら私だった。
「オレは、朱谷さんの写真を見て、飽きるとか、つまらないとか、感じたことは一回もない、オレは……朱谷さんの優しい写真が、好きだから」
「白、雪くん……」
初めて、白雪くんがこんなはっきりとしゃべるところを見た。
一回もつっかえることなく、周りに響くような声で、おどおどすることもせずに全てを言いきった。
「い、行こう朱谷さん、オレ達、今日は帰ります……」
しん、と静まり返った中白雪くんは言いながら座席から立ち上がると私の手を迷うことなく取る。
「え、ちょっ……白雪くん!」
そして、私の制止も無視してそのまま居酒屋を後にした。