ハイスペ御曹司で年下幼馴染の山田一郎が誘ってくる送迎を断ったら、とんでもない目に遭った件

最終回

ええっ一郎、それって……?

一郎は自嘲(じちょう)気味に言い添えた。


「……自分の気持ちを(おさ)えるのがこんなにも苦しいとは思わなかったよ」


い、一郎……?


「でももう俺のそばにいてくれるんだろ? 俺のこと誰よりも大切に思ってると言ってたしな」


一郎はいたずらな雰囲気を(まと)ったあの目で私をのぞきこんできた。
私の胸が、きゅ、と()めつけられる。
そして一郎は、私が今まで聞いたこともない甘い声で(ささや)いた。


「俺も正直に言う。茉莉は俺にとって特別な存在なんだ」


ずっと鳴りやまなかった私の心臓の鼓動は、一郎の本心を聞いてさらに跳ね上がった。
心はふわふわと夢心地……
――になりそうになったけど、一抹の不安に襲われて、恐る恐る()いてみた。


「ねえ一郎、特別って、……姉貴枠ってこと?」

「……茉莉、おまえ何言ってんの?」


と一郎はあきれ顔になったあと、凛とした顔つきでこう答えた。


「俺の伴侶(パートナー)としてに決まってんだろ」


息がかかりそうなほどの位置に一郎の顔があって。

私の大好きな目でじっと見つめられて。

私はその目の中に幼い頃の一郎を探す。

一郎の顔がゆっくりと近づく。

ずっと一郎の目を見ていたかったけど、今はもう満足。

だってこの先いつでも見ていられるんだから。



これから感じる一郎の温もりに胸をときめかせて、私はそっと目を閉じた。






~Fine.~
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