ハイスペ御曹司で年下幼馴染の山田一郎が誘ってくる送迎を断ったら、とんでもない目に遭った件

一郎の本音

一郎が怒りと安堵(あんど)で熱く震えている。
私は一郎の胸の中で、それを直に感じていた。


「あの事件があって、俺は茉莉を絶対に守るって決めたのに! 二度と茉莉にあんな怖い思いをさせないと誓っていたのに……! 本当にすまない!」


私もまだ小刻みに震える手で、一郎の腕に優しく触れた。


「謝ることないよ、一郎は私を守ってくれたじゃない。
――でも、どうして私なんかが狙われるわけ?」

「茉莉が俺の恋人だってネットニュースで大々的にすっぱ抜かれてたからな」と一郎が苦々しく言い捨てる。


え⁉ 
私が一郎の、こ、恋人って⁉ 


「そんなネットニュース、私初耳なんだけど?」と一郎の顔をまじまじと見た。

「発信元はすぐたたいたけど茉莉のスマホには規制かけたから、茉莉は知らないだろ」


はあっ? 規制!?
どうやって!?!?
っていうかYAMADA、いや一郎、怖っ!

……ああ、でもだから会社の人たち、「結婚」なんて言ってたのか!


「勝手なことして悪かった。でも茉莉のことだからあんな記事見たら自分を責めるだろ?」


一郎は少しためらうと、覚悟したように口を開いた。


「実はさ、茉莉が俺から離れて行こうとしていたのは知ってたよ。そのほうが茉莉にYAMADAの重責を負わせなくて済むから、俺もこれでいいんだって自分に言い聞かせてた。――でも本当は茉莉を手放したくなくて!」


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