ハイスペ御曹司で年下幼馴染の山田一郎が誘ってくる送迎を断ったら、とんでもない目に遭った件

見透かされてた

一郎は整った眉根を寄せると、そのきれいな顔に似つかわしくない(とげ)のある口調で言った。


茉莉(まり)、やっぱりな。俺を避けて早く会社に行こうとしてただろ」

「ゔっ……!」


行動を読まれていた私は、バツが悪くてそっぽを向いた。


「先を見越して待ってて正解だったな」


一郎は自分の判断に満足したのかニヤリとして、ここ最近毎日かけている新品の眼鏡を押し上げた。

茉莉茉莉って! 
いつのまにやら私のことはすっかり呼び捨てだ。
三つも年下のくせに、なにかと上から目線な一郎が私は気に入らない。
他の人には紳士的に対応するくせに。
だから私は口をとがらせた。


「だって一郎が車で送ってくれると大変なんだよ」


一郎は怪訝(けげん)な顔をする。――といっても偏光グラスの眼鏡のせいで表情の半分は隠れてよくわからないけど。

なんで私が大変なのか、おぼっちゃん育ちの一郎には、きっと思いもよらないよね。
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