契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ～ママになっても愛し尽くされています～

　家族全員が揃っての顔合わせはまた改めて行う予定だし、その時までには侑李さんとの関係性ももう少しくらい親密になれているかもしれない。
　そんな淡い期待を抱きながらも、事態がどんどん大きくなっていくのが怖かった。


　侑李さんと私だけの問題だったものが、パーティーで彼の知り合いを騙し、今度は自分の家族や親族にまで嘘をつく。
　罪悪感や不安感なんて、偽の婚約者を引き受けた頃の比じゃないほど強い。
　一方で、改めて覚悟が決まった。
　来るところまで来てしまったからこそ、もう逃げられない……と。


　そんな風にしてこの半月ほどが過ぎていき、今日に至る——というわけだ。


　この一か月ほどの休みはあちこち動き回っていたこともあって、仕事を終えて帰宅すると泥のように眠るばかり。
　それでも、なかなか体力が回復しなくて……。ようやく予定のない今日は、視界に映る散らかった部屋が気になりつつも、ベッドから抜け出せなくなっている。


（いや、でもそろそろ起きないと……。荷造りもしないといけないし……）


　もっとゆっくりしていたいけれど、引っ越しの時期もだいたい決まりつつある。
　引っ越し業者は侑李さんが手配してくれるけれど、荷造りは自分でしたいから『業者に頼もう』という提案を断ってしまった。