契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
 問題は、さっちゃんだ。
 性格的なものか社長という立場がそうさせるのか、最初ははっきりと疑われた。
 ただ、私もそこは懸念点だったから、まずは私がさっちゃんにを居酒屋に呼び出して話し、頃合いを見て侑李さんが同席してくれたのだ。


 彼は、嘘を交えつつも真実も伝え、まるで本当の恋人のように振る舞って見せた。
 さっちゃんは、私が話した時や侑李さんが来てすぐの頃もまだ半信半疑だったみたいだけれど、最終的には笑顔でお祝いしてくれた。


 最後は、お互いの家族の顔合わせ。
 これは、先週に行われた。
 といっても、あまりに唐突だったため、お互いの両親だけ参加してもらったのだ。


 侑李さんにはお兄さんがふたり、私にも妹がいるけれど、彼のお兄さんたちは検事をしていて忙しく、突然都合をつけるのは難しい。
 私の妹もサービス業のため、急すぎて都合がつかない。
 その上、侑李さんのお父様やおじい様まで検事らしく、直近で全員の予定を合わせるのは無理があった。
 それで、まずはお互いの両親だけで……となったというわけだ。


 ただ、人数が増えるほどごまかさなければいけない相手も多くなるわけで……。正直、ボロを出しそうだった私としては、少しだけホッとしていた。

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