契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
ところが、辻山さんは本当に困った様子で「もっとリーズナブルな価格のお店じゃダメですか?」と声を潜めて尋ねてきた。
いいかダメかで言えば、必ずしもダメということはない。
ただ、こうも遠慮されてしまうと、逆にきちんとした店で用意したくなった。
「できれば、ここで選んでくれると助かる。婚約者にいいドレスの一着も用意できないのかと思われるわけにはいかないんだ」
「それはそうかもしれませんが……」
嘘は言っていない。
所長に婚約者として紹介するのだから、しっかり着飾らせておいた方がいい。
うちの所長――通称ボスは愛妻家で、妻子にかける金は惜しまない。
そういった性格や事情を知っているため、念には念を入れておきたい。
それともうひとつ。
欲のない彼女に遠慮されればされるほど、どうにも着飾らせたくなったのだ。
「じゃあ、俺が選ぼう」
「えっ!?」
「俺が買いたいものを買って、君に着てもらう。それなら、自分で選ぶよりもいいだろ?」
まだ戸惑いを残す辻山さんを連れ、ドレスを見て回る。
彼女の白い肌に映えそうなワインレッドと、清廉な雰囲気に合いそうな淡いブルー。
その二着を辻山さんの前にかざすようにし、後者のドレスを半ば押しつける形で彼女に手渡した。
いいかダメかで言えば、必ずしもダメということはない。
ただ、こうも遠慮されてしまうと、逆にきちんとした店で用意したくなった。
「できれば、ここで選んでくれると助かる。婚約者にいいドレスの一着も用意できないのかと思われるわけにはいかないんだ」
「それはそうかもしれませんが……」
嘘は言っていない。
所長に婚約者として紹介するのだから、しっかり着飾らせておいた方がいい。
うちの所長――通称ボスは愛妻家で、妻子にかける金は惜しまない。
そういった性格や事情を知っているため、念には念を入れておきたい。
それともうひとつ。
欲のない彼女に遠慮されればされるほど、どうにも着飾らせたくなったのだ。
「じゃあ、俺が選ぼう」
「えっ!?」
「俺が買いたいものを買って、君に着てもらう。それなら、自分で選ぶよりもいいだろ?」
まだ戸惑いを残す辻山さんを連れ、ドレスを見て回る。
彼女の白い肌に映えそうなワインレッドと、清廉な雰囲気に合いそうな淡いブルー。
その二着を辻山さんの前にかざすようにし、後者のドレスを半ば押しつける形で彼女に手渡した。