旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。
「セルト様。ディナー後の予定も決まりましたし、今は食事を楽しみましょう?」

私の言葉にセルト様は食事を再開したが、何を考えているのかは表情からだけでは読み取れなかった。

しかし食事が終わっても、セルト様はすぐに立ち上がらない。

「セルト様?」

不躾(ぶしつけ)だが、そっとセルト様の顔を覗き込む。

少しだけ緊張しているように強張った表情を見て、先ほどの自室への誘いを私が断ると思っていたのだと悟る。

私が断ると思っていて、強気な物言いをしたのだろう。
< 12 / 44 >

この作品をシェア

pagetop