旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。
その笑みでつい私の強気な性格も顔を出してしまう。

「その割には数日間お呼びがなかったですけれど?」

「私も忙しいんだ」

セルト様も私の物言いに慣れてきたのか一つ一つに動揺しなくなっていた。




「レシール、ディナーが終わったら私の部屋に来ないか?」




突然の誘い。

しかしセルト様の表情から私の反応を見ていることは確かだった。

ならば……


「もちろん行きますわ。セルト様が私と向き合って下さるなら私には逃げる理由がありませんもの」


感情のままにそう述べただけなのに、何故かセルト様は少しだけ驚いたような表情を浮かべた。
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