旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。
きっと私にマナーを教えて下さっていた講師が今の言葉を聞いたら血相(けっそう)を変えて怒鳴ってくるだろう。

まるで公爵令嬢らしくもない、気の強い私らしくもない、まるで初めて恋した乙女のような言葉。

「レシール」

そんな私の口走りを聞いても、セルト様は甘い口調で私の名前を呼ぶ。

私はその言葉でも両手で顔を隠すことしか出来なかった。

「レシール、顔を見せて」

「嫌ですわ……!」

「じゃあ、そのまま私の話を聞いていて」

セルト様が顔を隠したままの私の頭をもう一度優しく撫でて下さる。

そして語られたのは、セルト様も口下手だったということ。
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