私をフッた元上司と再会したら求愛された件
打ち合わせ時間より少し早く到着できたので、シェアオフィス内で資料の修正をすることにした。提案内容はともかく、プレゼンの精度だけは上げたい。
パソコンを開いて作った資料を一から順に目を通す。その最中、ふと視界の端で誰かが机をノックするように叩くのが見えた。不思議に思って顔を上げ、私は絶句した。
「園崎、久しぶり」
戸川さんが、目の前にいた。かつて恋していた人。最後に会ったのは二年も前だ。でもかっこよさは健在。むしろ三十代になって色気が増したのか、さらにかっこよく見える。
「と、戸川、さん……? どうしてここに?」
「俺、今はこの会社にいるから」
今まで見たことがないくらい柔らかく微笑んだ戸川さんは、そう言って名刺を差し出した。名刺には『株式会社ラクリノ CSO』という肩書が書かれている。
「えっ?!」
やり取りはラクリノのCEOとしかしていなかったから、全然知らなかった。フラれた相手と打ち合わせとか、この上なく気まずい。
「すごい顔だな」
「えっ、あっ……」
動揺が顔に出てしまっていたみたいで、戸川さんは面白がるように笑った。ずっと好きだった戸川さんの笑顔。心が一気に昔に引き戻されて苦しくなる。
「園崎が担当って知ったから、俺が窓口になれるように頼んだんだ」
それはいったいどういう意味……?
「じゃ、また後で」
混乱して固まる私の頭に、戸川さんがポンと手を置いた。頭に電流を流されたみたいな衝撃が走って、私の思考が完全に停止する。
驚きが波のように次々押し寄せてくるせいで、去っていく戸川さんの背中を呆然と見送ることしかできない。その背中はなぜかちょっと嬉しそうにも見えた。気のせいだと思うけれど。
「えっ、えっ……?」
パソコンを開いて作った資料を一から順に目を通す。その最中、ふと視界の端で誰かが机をノックするように叩くのが見えた。不思議に思って顔を上げ、私は絶句した。
「園崎、久しぶり」
戸川さんが、目の前にいた。かつて恋していた人。最後に会ったのは二年も前だ。でもかっこよさは健在。むしろ三十代になって色気が増したのか、さらにかっこよく見える。
「と、戸川、さん……? どうしてここに?」
「俺、今はこの会社にいるから」
今まで見たことがないくらい柔らかく微笑んだ戸川さんは、そう言って名刺を差し出した。名刺には『株式会社ラクリノ CSO』という肩書が書かれている。
「えっ?!」
やり取りはラクリノのCEOとしかしていなかったから、全然知らなかった。フラれた相手と打ち合わせとか、この上なく気まずい。
「すごい顔だな」
「えっ、あっ……」
動揺が顔に出てしまっていたみたいで、戸川さんは面白がるように笑った。ずっと好きだった戸川さんの笑顔。心が一気に昔に引き戻されて苦しくなる。
「園崎が担当って知ったから、俺が窓口になれるように頼んだんだ」
それはいったいどういう意味……?
「じゃ、また後で」
混乱して固まる私の頭に、戸川さんがポンと手を置いた。頭に電流を流されたみたいな衝撃が走って、私の思考が完全に停止する。
驚きが波のように次々押し寄せてくるせいで、去っていく戸川さんの背中を呆然と見送ることしかできない。その背中はなぜかちょっと嬉しそうにも見えた。気のせいだと思うけれど。
「えっ、えっ……?」