婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
家の中には誰もいないが、とりあえず言うのが癖になっている。すると、ひとり暮らしではないと誤解したのか、聖澤さんがぎょっとした顔をする。

「誰もいないので安心してください」

「なんだ、紛らわしいことするなよ」

「挨拶もなしに家に入るなんて、寂しいじゃないですか」

「防犯としてはいいかもしれないが、今日は俺もいるだろ」

はあ、と呆れたようにため息をつく。途端にいつもの彼らしくなったので、なんだか安心した。

「お邪魔します」

廊下を進むと脇にキッチンがあって、その先には八畳のワンルーム。ベッドもテーブルもクローゼットも全部が押し込まれている。

入口に佇み、室内を見回す彼。彼がそれなりに広い部屋に住んでいるとするなら、ここは狭くて居心地が悪いかもしれない。

「狭くてすみません。コート、預かりますので荷物はそこに。座って楽にしていてください。今、お茶入れますので」

「あ、ああ……」

男性を家に招くのは久しぶりで、失礼はないだろうかと思いつく限りの気配りをする。買い物袋の中身を手早く冷蔵庫に押し込み、緑茶を準備した。

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