婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
「板長が酷いぎっくり腰を患って、二週間程度お休みをいただいていたことがあったんです。その間は脇板が不休で頑張ってくれて、なんとかお料理を提供できていたのですが、二日間だけ脇板も体調不良になってしまったことがあって」

なるほど、と私たちは唸る。

人手が足りない過酷な労働が続き、加えて板長代理という責任あるポジションを任されたプレッシャーもあったのではないか。

そうした状況下で脇板が体調を崩すのは仕方がないことのように思えた。

「さすがに調理補佐の従業員だけで懐石は作れず、近くの店の松花堂弁当を手配したんです」

「その事情をお客様にはお話ししましたか?」

「いえ……。ですが、お弁当だけでは寂しいと思い、和牛を使った家庭料理や、海鮮をふんだんに使ったお刺身などもあわせてお出ししました。コストとしては通常の懐石メニューよりも多くかかっているくらいなので、充分おもてなししたつもりでいたのですが……」

私と聖澤さんは顔を見合わせる。ときにコストをかけた贅沢な料理よりも、一流の料理人が作るたった一品が勝ってしまうときがある。懐石のように見栄えがするものは、とくに。

聖澤さんが冷静に説明する。

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