婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
「本来はあんたの仕事じゃないけどな」

「そんなことありませんよ。私の仕事はコンサルティング営業です。小さい施設だからって手を抜いたりしません」

「あんたはそう言うと思った」

呆れたように言いながら、でも表情はどこか嬉しそうで、彼の期待に応えられているのだとわかる。

「全部うまくいって丸く収まったら、モツ煮くらいご馳走してやる」

「え、本当ですか!? 楽しみにしてます!」

好きとか嫌いとかでぎくしゃくするより、ビールを乾杯してモツ煮か牛すじか言い争うくらいの仲がちょうどいい。

居心地のいい関係でいるために、あえて距離を置くのも手かもしれない。



翌朝。旅館らしい和の朝食をいただいたあと、チェックアウトの時間を少しだけ送らせてお客様と被らないように宿を出る準備を整えた。

お客様のお見送りが終了し、スタッフたちは清掃の時間だ。玄関で女将さんに挨拶をすると、彼女は「本当にありがとうございました」と深々と頭を下げた。

「謝罪の件に関しては、私の方でお客様にコンタクトを取ってみます。今後の対策や方針については文書にしてまとめますので」

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