婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
なんて冷たい言い方! ……でもその言葉の裏には大丈夫だから信じて待てというメッセージが隠されているのだと、今の私ならわかる。

「華村のポテンシャルはその程度なんかで終わらないです。お客様を幸せにできる宿なんだから」

「だったら気楽に待て。ほら、これでも食べてろ」

聖澤さんが自分の分の華村特製最中をくれる。茶器の置かれている棚から急須を持ってきて、緑茶を淹れ直してくれた。

今日は本当に優しいなあ。私が不安がっているからかな?

塩対応だと思っていたけれど、今はむしろ塩キャラメル。ちゃんと味わえば、しょっぱさよりも甘さの方がずっと強いとわかる。

「一緒に来てくれてありがとうございます。聖澤さんの仕事じゃないのに」

「言ったろ、乗りかかった船だって。それに――」

緑茶の湯呑をこちらに差し出しながら、いたずらっぽい表情をする。

「あんたの仕事が落ち着いてくれなきゃ、ゆっくりビールが飲めない。あれから牛すじだって食べてないんだからな、俺は」

『全部うまくいって丸く収まったら、モツ煮くらいご馳走してやる』――以前そう言ってくれたっけ。律儀に彼までビールと牛すじを断っているらしい。

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