婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
そんな疑問がちらりと頭をよぎったが、ないな、と自己完結して目的地に向かった。



目的の場所は住宅街にひっそりと佇む割烹旅館。

部屋数は七つと小規模でプランもお安め。契約を結んだところでそこまでの仲介料は期待できず、私自身の売上が立つわけではないのだが、趣のある和風家屋と日本庭園が気に入って独断と偏見で契約に踏み切った。

こういう落ち着いた雰囲気の宿を探し求めているユーザーがいるだろうと直感したのだ。

「あら桃代さん、お待ちしておりました」

出迎えてくれたのは薄紫色の着物を着た女性。この旅館『華村(はなむら)』を切り盛りしている女将さんで、御年六十歳のやり手である。

「女将さーん! ご無沙汰してます」

元気に挨拶すると、一歩うしろにいた聖澤さんが「馴れ馴れしいな」とツッコミを入れてきた。

「いいんです。この方がいろいろ相談しやすいでしょう?」

これが私流コミュニケーション術だ。

一応言っておくが、誰にでも馴れ馴れしくしているわけではない。ちゃんと相手のテンションと反応を見ながらやっている。たまに失敗もするが、そのときは『謝罪』の一択である。

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