続・ネコのお話聞き屋さん
「嫌。何かに感染したら、」
(あ、もう、娘には関係ないんだった)
- ネコ綺麗だもん。毎日、お母さんが舐めてくれるから。
「私はお母さんなんて名前じゃない!!」

私は思わず子猫に向かってそう叫んでいた。
(お母さん。
お母さん。
お母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さん。
オカアサン……)
頭を抱えて座りこんだ私に子猫がそっと寄り添ってくれる。
(あったかーい……)

2カ月前に子供を産んだ。娘と言う名のモンスターを。

寝ない。ミルクを飲まない。泣きやまない。
仕事が忙しい夫は苛立って私に当たる。義母は育て方が悪いと言う。夫を育てていた時はそうではなかったと。
毎日のように病院へ連れていく。医者も看護師たちも「お母さんが気をつけてあげてくださいね」と言う。
ねぇ。
じゃあ、私は?
私のことは誰が気をつけてくれるの?
育児して家事して買い物行ってゴミ捨ててごはん作って。
眠りたいのに眠れなくて。食べなきゃいけないのに食べられなくて吐いてまた夫に白い目で見られて。帝王切開の傷は未だにうずくし頭と胸と肩と腕と指と腰が岩みたいに重い。(娘が重い)。

だから、
様子を見にきた母の顔を見た瞬間、逃げた。サンダルのままで。(死んでしまう!!)
殺される殺される殺される殺される殺される。(娘を殺してしまう)

- 助けて、言えない?
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