続・ネコのお話聞き屋さん
子猫がスケッチブックをこちらに向ける。あ……

「だいじょうぶですか!?
今、交番行って、
あれ、おまえ!?」
「あなた……」
なんと、営業の外回り中らしい夫が私を見つけた。私はうなだれる。

「おまえ、娘はどうしたんだ!?
まさか家にひとりで置き去りに、」
「ごめんなさい!!」
「謝らなくて良いから!! 家へ帰れ!! 娘の面倒を見るのがおまえの役目だろ!!」
「ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!」
夫に強く右腕をつかまれ私は悲鳴を上げる。そうだ。私は奴隷だ。家の奴隷だ。家族の。
(「お母さん」と言う名の奴隷)

「……」

気がついたら、
集まってきたひとたちが白い目で夫と私を見ていた。
(なんで……)
さっきまで優しかったのに……
(やっぱり、奴隷に人権なんて……)

みんな無言だ。スマートフォンで写真や動画を撮っているひとまでいる。
(恥さらし……)
やっぱり、私、死ななきゃ。苦しいもん。死ななきゃ。ね。そうだよね。死……

- お父さん、ネコ、お話聞くよ?
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