逢いたい、と願って
出逢い






「紗季、紗季!!」




棺の前で泣き続ける僕。
周りの親戚や親が止めにかかっても僕はそれを振り払って、
色とりどりの花が並べられた紗季の亡骸へと近づく。
小さな白い棺に横たわっている紗季は、
安堵の表情を浮かべたままぴくりとも動かない。
数日前まで僕の隣で笑っていた紗季はもう戻ってこない。
もう、永遠に──




泣きわめく僕をよそに、棺が静かに閉じられた。
棺がゆっくりと運ばれていく横では、
すすり泣く参列者たちと、顔を伏せる親族。

「まだ若いのに、気の毒だねぇ……。」

「明るくて素直な子だったよ。」

嘘だ、こんなの。




──紗季が、消える──





そう思った瞬間、言いようのない悲しみと恐怖が僕を容赦なく襲う。



「嫌だ、紗季!紗季!」



運ばれていく紗季の棺を追いかけようとする僕を参列者が阻止する。

「遥くん、落ち着きなさい!」

「嫌だ、行くな!紗季!!紗季!!」





こんな別れ方なんてしたくなかったのに。


まだ、一緒に居たいのに。
紗季、






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