めぐり逢い 憧れてのち 恋となる【書籍化】
照明が落とされ、バラードのラブソングが流れる中、スポットライトに二人の姿が浮かび上がった。

「織江さん、なんて綺麗なの」

花穂は感激の面持ちで拍手を贈る。

ワンショルダーのマーメイドラインのウェディングドレスを身にまとい、髪をサイドでゆるくひとつに編んだ織江が、幸せそうに笹本と腕を組んで歩いて来た。

「織江さん、笹本さん、おめでとうございます。とっても綺麗!」
「ありがとう。花穂も素敵よ」

笑顔で言葉を交わし、織江はまた別のテーブルのゲストに声をかけられながら、メインテーブルへと向かう。

笹本のエスコートで高砂に上がると、二人並んで深々とお辞儀をした。

会場は祝福の拍手が響き渡る。

親しい友人を招いてのパーティーで、固い挨拶はなく、笹本が皆への感謝の言葉を伝えて乾杯となった。

「織江さん、写真撮らせてください」

歓談の時間になると、二人はゲストに囲まれる。
花穂も笑顔の織江たちを何枚も撮影した。

「あゆちゃんも一緒に撮ろうか。足元大丈夫?」
「はい」

花穂はあゆの手を引いて織江のもとへ行く。

「織江さん、大森さんの奥様のあゆちゃんです」
「あら、なんて可愛らしい。大森ったら、人生の幸運を使い果たしたわね」

真顔の織江に、あゆはふふっと笑う。

「そしたらこれからは、私がヒロくんを幸せにします」
「ひゃー! こんな可愛い子にこんな健気なセリフを言わせるなんて。大森、一生大事にしないとバチが当たるわよ」

近づいて来た大森はそれを聞き、「もちろん」とあゆの肩を抱き寄せた。

「この先の俺の人生は、あゆとこの子の為に捧げるよ」

そう言ってあゆのお腹にそっと手を当てる。

「うひゃ、もうラブラブ。えっと、メインテーブル座ります?」

立ち上がって席を譲ろうとする織江に、あゆは「やだ! まさか。織江さんったら」と可憐に笑った。
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