二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
「すみません、少し考えごとをしていて。なんですか?」
「いや、この時間に寝てしまったら、夜寝られないんじゃないかと思って」
その視線は、バックミラーに映る紬に向けられている。
「そうですね、いつもより寝るのが遅くなるかもしれません」
千咲はそう言って苦笑した。普段は八時には布団に入るが、この時間に二回目のお昼寝をしてしまった以上、十時を回るのを覚悟しなくてはならないだろう。
正直、紬が夜まで起きていると大変だ。こちらがいくら疲れて眠くても、次の日の朝が早くても、彼女は目をらんらんとさせて遊ぼうと誘ってくるのだから。
それを聞いた櫂は心配そうに千咲を見つめてくるが、千咲は「でも」と言葉を続けた。
「あれだけ楽しそうにはしゃいでくれたし、紬が楽しかったのならいいかな。あの顔を見てたら、疲れなんて全部吹っ飛んじゃいます」