二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
千咲が救急救命士になって四年目の夏。
二十四時間の勤務を終えてロッカーに戻ると、スマホに多数の着信履歴が残されていた。
嫌な予感に、全身が総毛立つ。
着信は千咲の唯一の肉親である祖母が自宅で倒れ、病院に搬送されたという知らせだった。庭先で花の世話をしていた祖母が倒れているのを近所の人が見つけ、救急車を呼んでくれたらしい。
慌てて病院へ飛んでいったが、搬送された二日後に祖母は息を引き取った。脳梗塞だった。
あまりに呆気なく、早すぎる死に、千咲はただ呆然とした。
一気に絶望の淵に落とされ、悲しみが深すぎて涙さえ出ない。葬儀や諸々の手続きを淡々とこなす千咲は、人形のように表情をなくしていた。
そうして初七日を終え、自宅の整理をしなくてはいけないとわかっていたが、なにも手につかない。祖母がいない家にいるのが苦痛で、千咲はついに自宅を飛び出した。