同期と私の、あと一歩の恋
目的地に着くと、椅子に座ってコーヒーを飲んでいる本田くんの姿があった。
他の社員は誰もおらず、静かな空間に彼ひとりだけ。

「本田くん、おはよう!」

明るく声をかけると、私に気づいた本田くんは笑顔を浮かべる。

「広瀬か。おはよう、朝から元気だな」
「あのね、例の企画通ったよ!」

興奮のあまり、挨拶もそこそこに本題を話す。

「マジで? よかったな」

驚いたように目を見開いたあと、嬉しそうに破顔する。
本田くんは椅子から立ち上がると、自分のことのように喜んでくれ、私の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。

「ちょ、ちょっと、やめてよ」

乱れた肩までの髪の毛を手櫛で直しながら、本田くんにジト目を向けた。
せっかく朝、整えたのに!

前々から思っていたけど、本当に彼は女心を分かっていない。
私は、いつか言おうと思っていたことを口にする。

「本田くん、そうやって誰彼構わずスキンシップするの、どうかと思うよ」
「は? どういうこと?」

本田くんは首を傾げる。
彼にその気はなくても、こんな風に触られると勘違いする女性は間違いなく出てくる。

自分がイケメンでモテることを全く自覚していないから、無意識にやってしまうんだろうか。
彼の無自覚な行動は、女性にとっては本当に困るんだよな。

「さっきみたいに、いろんな女の人の頭を撫でたりしない方がいいよ」

一度喋り出すと、もう止まらなくなっていた。

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