転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

第3話 選ばれし者の選択(カイル視点)

「リュシアナ!」

 目の前で倒れるリュシアナ様を抱きとめる。名を呼びかけた瞬間、陛下とユーリウス殿下の声が響き、俺は寸前で口を(つぐ)んだ。
 
 陛下の手がリュシアナ様へと伸び、そっとお渡しした。ユーリウス殿下がリュシアナ様の顔を覗き込み、俺は立ち上がりながら後ろへと下がる。

「やはりクラリーチェを連れて来たのは間違いでしたね」
「だが、リュシアナは記憶喪失なのだぞ。私とお前だけ、というわけにはいかないだろう。後々になって、クラリーチェの存在を知ったら……」
「母上も隠しごとはお嫌いでしたからね。記憶喪失とはいえ、そこは変わらないでしょう」

 王妃様が亡くなられたのは、リュシアナ様が三歳の時。ユーリウス殿下は十二歳で、多感な時期でもあった。それゆえに、ご側室様とクラリーチェ王女の存在が気に入らないのだろう。

 ご側室様が王妃様を毒殺したのでは? という噂が流れていたほどだ。けれど陛下がいくら調べさせても、何一つ証拠は出てこなかった。
 王妃様は元々お体が弱く、あえてご側室様が手をかける必要があったとは到底思えないのだ。
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