転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
***
いや、当然の客なのだが、心がいやにざわつく。
さっき、塔を戒めにしたばかりだというのに、ダメね。相手には助言を与えられるのに、自分への助言は簡単に覆してしまう。
私は気を引き締め、目の前の相手を見据えた。
「今日はどのようなご用件ですか? お父様が占ってもらいに来た、というわけではないですよね」
「ユーリウスが失言をした、と聞いたのでな。様子を見に来た。思ったよりも怒っているのだな」
「……お兄様に頼まれたのですか? 私のご機嫌取りに成功したのか、見てきてほしい、と」
この占い部屋は、まさにそのためのものなのだ。お父様が様子を見に来ること自体、何も不思議ではない。けれど事情が事情なだけに、どんどん言葉が冷たいものになっていった。
「それもあるが、警告しに来たのだ」
「けい、こく?」
「王族であれば、自分が下した判断で、民の命や人生が変わってしまうことが多々ある。リュシアナにはそのような覚悟など持たず、自由に伸び伸びと生きてほしかったのだ」
「つまり、グレティスの件はお父様の命令、というのですか?」
「あの時、お前は三度倒れた後だった。負担をかけたくなかったのだ」
リュシアナに愛する妻の面影を感じているお父様なら、それもまた理解できる。お母様は病弱だったのだから、尚更だ。
いや、当然の客なのだが、心がいやにざわつく。
さっき、塔を戒めにしたばかりだというのに、ダメね。相手には助言を与えられるのに、自分への助言は簡単に覆してしまう。
私は気を引き締め、目の前の相手を見据えた。
「今日はどのようなご用件ですか? お父様が占ってもらいに来た、というわけではないですよね」
「ユーリウスが失言をした、と聞いたのでな。様子を見に来た。思ったよりも怒っているのだな」
「……お兄様に頼まれたのですか? 私のご機嫌取りに成功したのか、見てきてほしい、と」
この占い部屋は、まさにそのためのものなのだ。お父様が様子を見に来ること自体、何も不思議ではない。けれど事情が事情なだけに、どんどん言葉が冷たいものになっていった。
「それもあるが、警告しに来たのだ」
「けい、こく?」
「王族であれば、自分が下した判断で、民の命や人生が変わってしまうことが多々ある。リュシアナにはそのような覚悟など持たず、自由に伸び伸びと生きてほしかったのだ」
「つまり、グレティスの件はお父様の命令、というのですか?」
「あの時、お前は三度倒れた後だった。負担をかけたくなかったのだ」
リュシアナに愛する妻の面影を感じているお父様なら、それもまた理解できる。お母様は病弱だったのだから、尚更だ。