転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「そこを十分に理解していただけたのであれば、無茶な行動はしないこと。また、不調を感じたら、ヴァレンティア卿にすぐ言うこと。勿論、このミサにもお願いできますか?」
「えぇ、約束するわ」
「……そういうところは、以前の姫様と変わらないのですね」
「ミサ殿」

 思わず(たしな)めた。しかしリュシアナ様は首を横に振る。その姿に俺は拳を握り締めた。

 ミサ殿が、かつてのリュシアナ様をお慕いしているのは知っている。俺もまた、同じだったから、今のリュシアナ様を通して、かつてのリュシアナ様を探してしまう。

 訓練場の裏手にある中庭を提案したのも、まさにそれが理由だった。
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