転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「ですが、リュシアナ様が記憶喪失だというのは、我々と王族の方々にしか知られておりません。不用意に歩き回るのは危険かと思われます」
「ヴァレンティア卿の言う通りです」
「でもミサは言っていたじゃない。記憶喪失になる前の私は、王宮は勿論のこと、城下にもお忍びでよく行っていたって。カリエンテ病も、そこからもらった、と」
「そ、それは……」
明らかにミサ殿の失態ではあるが……。
「では、試しに中庭へ行くのはどうですか? 訓練場の裏手にあるので、滅多に人は来ません」
「いい提案だと思いますが、騎士たちはどうなのでしょうか? 裏手にあるということは……」
「ご安心を。そこは俺が追い払えばいいだけのことですから」
「どの道、カイルを連れずに出歩けば、二人が咎められてしまうわ。少ししか話さなかったけれど、お父様とお兄様の反応や態度を見れば、なんとなく私の立場は理解できたから」
だから、ね? と両手を合わせて首を傾げる姿に、思わず返事をしそうになった。向けられているのはミサ殿で、返事を求められているのもミサ殿だというのに。
そのライラックグレーの瞳に見つめられるミサ殿を、羨ましいと思ってしまった。提案したのは、俺の方だという気持ちが拭えなかったからだろうか。
「ヴァレンティア卿の言う通りです」
「でもミサは言っていたじゃない。記憶喪失になる前の私は、王宮は勿論のこと、城下にもお忍びでよく行っていたって。カリエンテ病も、そこからもらった、と」
「そ、それは……」
明らかにミサ殿の失態ではあるが……。
「では、試しに中庭へ行くのはどうですか? 訓練場の裏手にあるので、滅多に人は来ません」
「いい提案だと思いますが、騎士たちはどうなのでしょうか? 裏手にあるということは……」
「ご安心を。そこは俺が追い払えばいいだけのことですから」
「どの道、カイルを連れずに出歩けば、二人が咎められてしまうわ。少ししか話さなかったけれど、お父様とお兄様の反応や態度を見れば、なんとなく私の立場は理解できたから」
だから、ね? と両手を合わせて首を傾げる姿に、思わず返事をしそうになった。向けられているのはミサ殿で、返事を求められているのもミサ殿だというのに。
そのライラックグレーの瞳に見つめられるミサ殿を、羨ましいと思ってしまった。提案したのは、俺の方だという気持ちが拭えなかったからだろうか。