転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「わっ!」

 それがいけなかったのだろう。カイルはただ手を握っていただけなのに、私の体は引っ張られて、そのまま体当たりをしてしまった。

「ご、ごめんなさい」
「いえ、それよりも大丈夫ですか?」
「うん。カイルが支えてくれたから……っ!」

 こ、これは抱き合っているみたいじゃない!

 咄嗟に距離を取るが、片手は握りしめられているため、離れることができない。しかもバランスを崩したことで、もう片方の手が私の背中に回されていた。

「カイル……その、手を……」
「いけませんか?」
「だって、ミサもいるのよ」
「いませんが?」
「え?」

 そういえば、ミサの声がしない。私の一挙手一投足に反応するのに……どうして?
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