転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「グレティスの場合、帰宅した直後に始末されてしまう可能性があったから、早急に対処したの」
「口を割らなかったのに、配慮をする必要があったのでしょうか」
「別に尋問したわけではないし、咎めるために呼んだわけではないことも伝えたのよ。わざわざ自分の首を絞める言動はしないでしょう? ましてや、ここは王宮なのよ。危険すぎるわ」
「おっしゃることは分かりますが……」
するとカイルは再び、不思議そうに私を見つめてきた。
「……私の判断は甘かったかしら」
「いえ、むしろ的確だったので驚いています。本当に記憶喪失なのかと感じたほどです」
「っ!」
思わず反射的に顔を背けてしまった。
記憶はない。あるのは前世の記憶なのだから、偽りはない。でも……誰がそれを信じるの?
「申し訳ありません」
「え? どうしてカイルが謝るの?」
「リュシアナ様を傷つけてしまったからです」
「ううん。カイルの指摘は、何も間違っていないわ。今の私は記憶喪失だけど、完全……ではないでしょう?」
な、何を言っているの!? さらに頭のおかしい女に見えちゃうでしょうー!
「そうですね。以前のリュシアナ様のような威厳というか、包容力は感じませんが、目が離せないところは同じように見えます」
「っ! それは……危なっかしい、ということ?」
カリエンテ病のことも含めると、三度倒れたのに城下へ行ったり、グレティスを呼んだり……思い当たることが山ほどあった。
「護衛としては、そうですね」
「それ以外にもあるの?」
「……まぁ、色々です」
気まずそうに言ってくる割には、私に笑顔を向けるカイル。柔らかくて、温かい。見守られている感じがして、嫌な気分ではなかった。むしろ――……。
「口を割らなかったのに、配慮をする必要があったのでしょうか」
「別に尋問したわけではないし、咎めるために呼んだわけではないことも伝えたのよ。わざわざ自分の首を絞める言動はしないでしょう? ましてや、ここは王宮なのよ。危険すぎるわ」
「おっしゃることは分かりますが……」
するとカイルは再び、不思議そうに私を見つめてきた。
「……私の判断は甘かったかしら」
「いえ、むしろ的確だったので驚いています。本当に記憶喪失なのかと感じたほどです」
「っ!」
思わず反射的に顔を背けてしまった。
記憶はない。あるのは前世の記憶なのだから、偽りはない。でも……誰がそれを信じるの?
「申し訳ありません」
「え? どうしてカイルが謝るの?」
「リュシアナ様を傷つけてしまったからです」
「ううん。カイルの指摘は、何も間違っていないわ。今の私は記憶喪失だけど、完全……ではないでしょう?」
な、何を言っているの!? さらに頭のおかしい女に見えちゃうでしょうー!
「そうですね。以前のリュシアナ様のような威厳というか、包容力は感じませんが、目が離せないところは同じように見えます」
「っ! それは……危なっかしい、ということ?」
カリエンテ病のことも含めると、三度倒れたのに城下へ行ったり、グレティスを呼んだり……思い当たることが山ほどあった。
「護衛としては、そうですね」
「それ以外にもあるの?」
「……まぁ、色々です」
気まずそうに言ってくる割には、私に笑顔を向けるカイル。柔らかくて、温かい。見守られている感じがして、嫌な気分ではなかった。むしろ――……。