転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
 まさか、もうミサが侍医を連れてきたの? いくらなんでも早すぎない?

「み、ミサ?」
「ミサ殿ではありません、リュシアナ様。お笑いになる声が聞こえたので……失礼しました」
「……誰?」

 明らかに男性だと分かる低い声。ミサは私を第二王女だといい、姫様と呼んだ。

 その部屋に男性!? い、いつからいたの?

 私が身を起こそうとすると、カーテンの陰からアイスブルーの髪の青年が静かに現れた。
 鋼のように整った騎士服に、落ち着いた雰囲気。それでいて、まるで空気と一体化するように、その人はゆっくりと歩み寄ってきた。

「護衛騎士のカイル・ヴァレンティアと申します。リュシアナ様のお傍には、常に控えるよう命じられました」

 胸に手を当てて挨拶をする、護衛騎士だと名乗った男性。王女に護衛騎士は変じゃないけど……その深い緑色の瞳に見つめられ、どう返事をしていいのか分からなかった。
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