転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「お加減はもうよろしいのですか?」
「え?」
「その……ミサ殿が侍医を呼びに行かれましたので」

 そうか。そうだよね。彼、カイルもまた部屋にいたのだから、ミサと同じ反応をしてもおかしくはなかった。それだけ、このリュシアナ王女は周りに愛されていた姫なのだろう。

 けれど今の私は……。

「リュシアナ様。今は記憶がなく、色々と不安かと思います。しかしミサ殿もいいましたが、私もまた、全力でサポートさせていただきます」
「……護衛、騎士なのに?」
「護衛騎士だからです」

 カイルは迷いなく頷いた。
 妙に説得力のある声音に、私は初対面であるにもかかわらず、この人は大丈夫だという不思議な確信を得た。私の中に、僅かにあるリュシアナ王女の記憶がそう思わせてくれるのだろうか。

「……よろしくね、カイル」

 自然とそう口から出ていた。

 けれどその瞬間、彼の瞳がほんのわずかに揺れた気がして……私は思わず、言葉の続きを飲み込んだ。
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