転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「その……怒っていらっしゃるのかと、思って……」
「……怒ってはいないけど……モヤっとしただけ」

 そう、モヤっとしたのだ。私は初めて他人を占うのに、カイルは違う。比較されるのが怖い。たぶん、そんなところだと思う。

「所詮、私は素人だから、プロの占い師みたいに的確なことは言えないし、アドバイスだってできないもの」
「つまり……嫉妬ですか?」
「っ! 違うわ! どうしてそうなるのよ」
「占うのを承諾した時、同じことをおっしゃっていたからです」

 確かに、言ったような気もするけど……。

「それと何の関係が?」
「同じことを言うのは、何かやましいことがあるからだといいますから」
「……それ、逆よ。やましいことがあるから咄嗟に嘘をついて、ない時は同じこと、つまり正直にいうんだから」
「あれ、そうでしたか?」

 ハハハ、と笑って誤魔化すカイルを、私は呆れた顔でやり過ごす。内心はカイルがおかしなことを言ってくれて、安堵していた。
 嫉妬と言われれば、嫉妬なのかもしれなかったからだ。
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