転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
第4章 『節制』・広がる噂
第16話 王宮の流行
その日は結局、本題を切り出すことができずに終えてしまった。リュシアナとしての記憶が戻った、とはしゃぐミサに、違うとは強く言えなかったのだ。
けれどそれは、悪いことだけではなかった。宣言通り、ミサとカイルが色々とサポートをしてくれるようになったのである。その中には、あの日、言おうとして言えなかった本題も含まれていたため、思いがけない形で切り出すことができたのだ。
そう、お父様とお兄様の動きが静かな理由である。
「えっ、来月なの? お姉様の輿入れは」
「はい。姫様が病に臥せっていたため、延期になっていたのですが、ようやく再調整できたため、来月に決まったそうです」
なるほど。お姉様の嫁ぎ先は、我がアルフェリオン王国と友好的な国ではない。ノルヴィア帝国とは長いこと諍いが絶えず、今回、停戦案を向こうの方から提示してきたのだ。
「本当なら、私がその国に嫁ぐはずだったのよね」
「はい。ノルヴィア帝国が要求したのは、王妃様が産んだ姫様です。しかし陛下は……――」
「……お姉様に嫁ぐように命じた」
だから私の耳に入らないようにしたのだろう。配慮するところが違うような気もするけれど……。
けれどそれは、悪いことだけではなかった。宣言通り、ミサとカイルが色々とサポートをしてくれるようになったのである。その中には、あの日、言おうとして言えなかった本題も含まれていたため、思いがけない形で切り出すことができたのだ。
そう、お父様とお兄様の動きが静かな理由である。
「えっ、来月なの? お姉様の輿入れは」
「はい。姫様が病に臥せっていたため、延期になっていたのですが、ようやく再調整できたため、来月に決まったそうです」
なるほど。お姉様の嫁ぎ先は、我がアルフェリオン王国と友好的な国ではない。ノルヴィア帝国とは長いこと諍いが絶えず、今回、停戦案を向こうの方から提示してきたのだ。
「本当なら、私がその国に嫁ぐはずだったのよね」
「はい。ノルヴィア帝国が要求したのは、王妃様が産んだ姫様です。しかし陛下は……――」
「……お姉様に嫁ぐように命じた」
だから私の耳に入らないようにしたのだろう。配慮するところが違うような気もするけれど……。