生徒会長・柊木先輩のひみつ
感動で肩を震わせる私を置き去りに、彼はすぐに感情の読めないポーカーフェイスに戻る。
そして、くるりと私から背を向けた。
「何か用か? ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
その冷たい言葉に、私は息が詰まりそうになる。
それでも、私はすぐには引き下がれなかった。彼の背中に見えた孤独な姿が、私の心を締めつけていたからだ。
「あの、良かったら、お弁当作り手伝わせてもらえませんか? 実は私、先輩と同じで……『魔法少女ルナ☆ルナ』が大好きなんです!」
私の言葉に、先輩の背中が硬直したのが分かった。そして、彼はゆっくりとこちらを振り返った。
「どうして、君が……」
先輩の声は、少しだけ震えているように聞こえた。そして俯き、小さな声で続ける。
「俺のこんな姿を見たら、君もがっかりするだろ」
彼の言葉に、私の胸は再び痛み出す。
「いいえ。先輩のそういう不器用なところ、私にはとっても素敵に見えます。だから、私にも手伝わせてくれませんか?」
「稲葉……」
私は、彼の心に触れるように、そっと両手で先輩の手を包み込む。
彼の大きな手は、予想以上に熱を持っていた。その温かさが、私の指先から心まで伝わってくる。