愛を知った日

9.

その日から私は数日、体調を崩していた。そのためテスト終わりのカラオケは延期になった。碧の発表会も近づいているのにベッドにいる時間が長く、学校の授業もあまり進んでいない。
今日も私はベッドと友達で昼過ぎになってしまっていた。今日はみんな仕事や保育園で家には私1人だ。少し前にベッドから這い出てリビングに向かうとテーブルに起きたら食べてねというメモと共にサンドウィッチが置いてあった。
感謝しながらそれを頬張っていると隣に置いていたスマホが鳴った。
表示されている名前を見ると明美ちゃんだった。
「もしもし。明美ちゃん?」
「もしもし。奏?なにしてた?」
「今、起きてごはん食べてた。」
「今、奏の家の近くまで来てて。お見舞い行ってもいいかな?」
「誰もいなくて私1人だけどそれでもいいなら。」
「本当?実はスペシャルゲストもいるから楽しみしてて。」
「スペシャルゲスト?」
「とにかく行くから。じゃあね。」
そこで電話が切れた。
数分後、家のインターホンが鳴った。
モニターで確認するとなんと明美ちゃんと鳳蝶くん、伊月くんがいるではないか。私は驚いて身だしなみを確認して玄関のドアを開けた。
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