愛を知った日
奏は真っ赤な顔をしていた。たぶん俺も同じくらい真っ赤になっているだろうと思いつつ嫌ではなかったか確認する。良かったと言ってくれた時はホッとしたと同時に嬉しかった。あまりおぼつかないそれが俺達のファーストキスだった。その後、バイクで奏を家まで送り食事に誘われたがドキドキしていてそれどころではなかったので丁寧に断った。
「ありがとうございます。嬉しいです。でも今日はこの後用事があってすみません。またの機会に。」
「あら。そうなのね。残念だけど仕方ないわね。今日は奏を送ってくれてありがとう。」
「はい。また。」
そう言ってまたバイクに乗り家に帰った。自分の部屋に入った瞬間、俺は崩れ落ちた。
(はぁぁ…キス、めっちゃ緊張したぁ…でももっと雰囲気作った方が良かったかなぁ。)
自分の唇をそっと触る。なんだかまだその時の感触が残っているような気がしてソワソワする。その日はあまり眠れなかった。その後奏が体調を崩してしまい夏祭りには行けなかった。行けないと分かった時、奏はひたすら謝ってきた。
「ごめん。鳳蝶くん、体調悪くて夏祭り行けない。本当にごめん。」
「夏祭りなんてどうでもいい。大丈夫なのか?」
「ごめん…楽しみにしてたのに。」
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