愛を知った日

13.

「まず涙拭いて」
そう言ってティッシュを渡してくれた。
「ありがとう」
私はそれを受け取り、涙を拭き鼻をかむ。
「大丈夫か?なんで泣いてる?家族のことか?彼氏のことか?」
彼氏というワードを聞いてビクリッとした私を見て
「彼氏だな。何があった?」
「話せない…」
「分かった。じゃあ言わなくていい!その代わりしばらくここに居ていい?」
「えっ?」
「だって言いたくないんでしょ?」
「そうだけど…」
「そう言われると言いたくなる?」
「そうかも…?」
「ふはっ。じゃあ言ってみなよ」
私はおずおずと言い始めた。
「彼氏が浮気してた」
「は?」
「だから鳳蝶くんが浮気してた」
「そうか。いやでも実をいうと誕生日パーティーの時からなんかあるんだろうなとは思ってたけど」
「なんで?」
「奏は見せないつもりだったのかもしれないけど彼氏なのにあんまり話してなかったし目も合わせてなかったような気がして」
なんでこんなに鋭いんだと内心思った。
「それで?その件に関して彼氏と話したの?そもそもなんで浮気してるなんて分かったの?」
「見たの。鳳蝶くんと他の子がキスしてるところ。本人は腐れ縁だって言ってるけど怪しいと思ってた」
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