愛を知った日
「ふ〜ん。とりあえず本人に直接聞いてみなよ。こういうのって勘違いとか拗れると後から面倒くさいよ」
「そんなの聞けるならとっくの昔に聞いてるよ」
「そっか。でももし聞いてどんな結果になっても慰めてやるから安心しろ」
その言葉になんだか怪しい気配を感じて自分の体を守るような仕草をする。
「違うって。そんなに警戒しなくても大丈夫だって。とにかく奏は初彼なんだろ?」
「なんで知ってるの?」
「勝手に耳に入ってくるんだよ。とにかく奏は恋愛の全てが初めてなんだからちゃんと確認した方がいいよ」
「分かった…」
「なるべく早く直接対面で聞きなよ」
「えぇ。怖い…」
「結構前から不安なんだろ?なんだったら今からでも車出してやるから」
「いいよ。大事なことだから1人で行きたい。不安なことは早く終わらせたいからやっぱり今から行ってくる」
「今から?いいと思うけどちゃんと連絡してから行けよ」
「あっそうだね」
私はスマホを開き鳳蝶くんに今から家に行くと連絡した。鳳蝶くんは驚いていたが、待っていると返事をくれた。私は再び暖かい格好をして楽くんにお礼を言って一緒に家を出る。
「頑張れよ。気をつけて」
「うん。ありがとう。行ってくる」
楽くんは私の背中を見送ってくれた。
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