愛を知った日
その時フッと目線を巡らすと同じくらいの年齢の女子がチャラチャラした男に連れ去られそうになっていた。
普段なら気にしない。だけど本当に嫌そうな顔をしていたので自然と足が動いていた。
「ちょっとごめん。」
「えっちょっと…どこ行くの？」
返事もまともにできず、走った。
あの日は天気が良く青空だった。その空の下を飛んで男達の前へと立ちはだかる。
違うとは思ったが念のため友達か聞くとやっぱり違うと言うのでそれを言うと男達はそそくさと去って行った。
それからその子の状態を確認するとそこに伊月がやってきた。
伊月は女子には目がない。そこで名前を聞くと横沢奏というらしい。さらに聞くと同じ年で近くの通信制に通っていることが分かった。
しかも俺もドキッとしてしまうくらいにかわいかった。
でも本人は自覚がないようだった。この可愛さなら口説いてくる男も多いだろう。なんとなく男が苦手そうだったし怖がらせないように努力した。俺は見た目のせいでチャラく見られることが多いからだ。心配だからという理由で駅まで送った。それもあるがなによりもっと一緒にいたかったからだ。その道中もあまり話さなかったが隣を歩いている奏の顔を盗み見ていた。
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