愛を知った日
その後、それぞれの高校の話をして俺達が自虐で周りからどう呼ばれているかを説明すると奏は即座に否定してきた。そして次々と俺達のいい所を出してくれた。今までどんなにそうじゃないと説明しても周りは月桃は問題児という認識を変えなかった。それなのに初めてそれを違うと言ってくれる人に出会った。それが嬉しかった。
そうやってたわいもない話をしながら楽しい時間を過ごした。この時間のおかげで奏の敬語が少しずつ取れているような気もした。
奏の笑顔が可愛くてこっちまで笑顔になってしまう。
もう少し一緒に時間を過ごしたいと思いつつも結構長く喋ってしまったのでもうそろそろ店を出ようということになった。
会計を済ませ、それぞれ別れようとした時奏がいきなり倒れた。店に来る途中でもつまずいたことがあったので最初はつまずいたのかと思ったが、意識がない。
俺は意識のない奏の体を支えながら救急車を呼ぶように言った。誰だったのかは覚えていないが数分後、救急車が到着した。到着までの間、明美は泣いているし伊月はどうすればいいか分からずパニックになっている。俺も頭が真っ白で何も考えられなくなっていた。
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