愛を知った日

5.

会場に向かうとすでに大勢の人が集まっていた。
「碧、離れないようにね。」
「うん。人いっぱいだけど大丈夫。」
「さすがの人気だね。聞いた話によると伊月も出るらしい。」
「そうなの?」
「うん。」
「ここがいいんじゃないか?」
パパがいい席を見つけてくれてそこに座ることにした。
さすが席取りのプロと言われてただけはある。
私達姉弟の行事には必ず参加し毎回、早くから席を取っていただけあっていい席を見つけるのが上手い。
「お兄ちゃん達、まだかな?」
「もうすぐだよ。」
「この紙にお兄ちゃんか伊月くんの名前書けばいいんだよね。」
「そうだよ。1人だけね。」
「え〜決められないよ。」
「よりかっこいい方を書けばいいんじゃない?」
「そっか。ありがと。明美ちゃん。」
「明美ちゃんはどっちに書くの?」
「見てからかな。」
「そういう奏は?」
「私も見てから決める。」
そう会話をしていると会場が暗くなった。
< 63 / 315 >

この作品をシェア

pagetop