魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「娘がそれでは説得力もなかろう。酒がまずくなる。とっととその罪人どもを引っ立てろ」

 彼はすでににこちらを見てもいない。父の最後の抵抗も虚しく。私達は皇宮から引きずり出されて行く。

「皇太子、なにとぞご再考を――! なにとぞ――……!」
(どうして、こんなことになったのかな……)

 父の無意味な訴えが皇宮に響き渡る中、私は頭にこれまでのことをよぎらせていた。

 いかにして私が皇太子様の婚約者となり、そしてその後こうして没落貴族の令嬢にまで転がり落ちようしているのか……その成り行きを――。


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