俺の痛みに金を払え
最後の野球
じーちゃんとおいちゃんとは
よくキャッチボールをしたもんだ。

言葉に出さないが俺に野球をしてほしかったんだと思う。
俺の中で今だ野球に対する答えは出てなかった。
ただ親父がいない中
じーちゃんとおいちゃんとのキャッチボールは特別な物があった。

おいちゃんはひょうきんで時に厳しい
公務員だ。
トランプをしたり人生ゲームをしたり
よく遊んでくれた。
親父がいない間親父がわりをしてくれていた。

野球を今からやっても一年もできない。
中学にはできない事が俺には悔しく
意地になってた。

学校でわ、担任の本田先生は
昼休みになると本気で遊んでくれた。

ぼーかんとちっつけと言う遊びが流行ってた

ぼーかんはボール缶蹴りの略で
ちっつけとはボール鬼ごっこだ。
ボールを当てられた人が鬼になる。

無我夢中に遊んだ。
先生も全力で。

とある日2人でキャッチボールをすることになり
本田先生はキャッチャーで
俺がピッチャーだ。

シュー
スパンっ。

本田:狂くんはいい球投げるな
野球やってみたらどうや?

俺:やりたい気持ちはあるけど
いまいち気持ちがのらん

本田:そうやの
中学では野球ないからな
一旦、考えるより
練習に参加したらどうや?
やるやらんで悩むより
練習に参加したら体がどっちか教えてくれるんやない?


俺:そんなもんなんかな?
まぁ、練習だけ行ってみようかな

本田:あぁ、行くといいよ
こんな球投げれるのにもったいない

俺は担任とのキャッチボールで
悩んでいた野球をまた始めようと
心が動いていた。

その日帰り道
たかひろに
明日野球練習参加さしてと伝えた

たかひろ:お!くる?
ならグラウンドに集合や
グローブあるやろ?

俺:もちろん
じゃあ明日からよろしく

久しぶりの野球
心がワクワクしていた。

練習当日
待ち合わせ場所のグラウンドに集合した。

俺は監督がいるのかと思ってた。

ラーニング
キャッチボールが終わり
何処となく違和感を感じながら
練習をこなし

夕方過ぎに
監督らしき大人が現れた。

自己紹介をし
ノックをした。

俺は心の中で物凄い練習が生ぬるく感じていた。

大水の野球では
練習中、水分も取れず
始まりからずっと声出して
沢山ハードな練習だったから。

こっちの練習は
公園でする遊びに近い
草野球程度の練習だった。

俺は、この練習に馴染めず
アホらしくなりはじめていた。

たかひろ:明日もくるやろ?

俺:んーわからん

たかひろ:なんで?
野球しようや

俺は濁して練習を後に帰った。

その日野球の事ばかり考えて眠れなかった。
このまま練習に参加する気持ちはなかったが
何か虚しさが込み上げた。

次の日学校へ行くと
理由は些細なことから
たかひろと大喧嘩をしたのだ。

体育倉庫で殴り合い
服も汚れ
俺は汚れた服のまま教室へと戻った。

昼休み、教室には女子3人がいた。

ひろこ:わ!狂くんどしたの?
服よごれて
ちか:誰かと喧嘩した?

恵が無言で自分の濡らしたハンカチで
俺の汚れた服を拭いてくれた。

俺は初めて人前で泣いてしまった。

泣く事に恥じらいがあり
俺は急いで教室を出た。

喧嘩中にたかひろが放った言葉が
脳内に何回も流れていた。

たかひろ:お前なんか
引っ越して来んければよかったのに

俺は昼休み
学校を後に家へ無言で帰った。

自分の家へ帰ったが誰もいなく
俺は沢山泣いた。
そのあと、親が帰宅し
家に学校から電話があり
ことがばれた。

母親:狂くんどしたん?
なんかあったの?
俺は無言を貫いた。
担任が何を言ったのかもわからないし
喧嘩して泣いた事の方が恥ずかしかったからだ。

母親:明日は送ってあげるから
ちゃんと行きなさいよ

俺は行きたくなかった。
その朝
母親と共に学校近く迄行き

やっぱり行きたくないと俺は駄々をこねた
母親も行って欲しさに色々俺に言った。

俺は何でかわからないが
母親の腕を殴ってしまった。

その光景を学校近くの車屋のおいちゃんが見てて
宥めてくれてジュースをご馳走してくれた。

俺はやっぱり行きたくないのを伝え
母親と自宅へと帰った。

その日を境に俺は学校に
行かなくなった。
今迄楽しかった生活が億劫になり
全てが嫌になったのだ。

休みの日は直樹が家に遊びにきて
学校の事の話しや
秘密基地に行って色々話をした。

直樹:たかひろも反省しとんし
狂くんおらな俺寂しいわ

俺:んー

直樹は俺の親友だった。

その日は近くの商店へ行き
自販機で缶チューハイとタバコを買った。

秘密基地に戻り
俺はタバコに火をつけた。

ごほごほ

煙草の吸い方等わかってなくむせるだけ

口に広がる苦い味
大人になった気分で
缶チューハイも飲んだ。

直樹もチューハイを飲み

直樹:ジュースみたいやな
明日からどーするん?

俺:学校行ってみようかな?

直樹:きなよ
俺待っとるし、たかひろになんか言われたら
俺もたかひろ殴るけん
狂くんの味方やけ

俺は嬉しかった

俺:ありがとう
直樹
酒飲んだら帰ろうや

秘密基地に煙草を隠して
俺と直樹は一気飲みをして
帰った。
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