俺の痛みに金を払え
捨て子(あさことの再開1)
あさこの懐かしい声
喋り方が何処か大人ぽっく感じらた。

俺:久しぶり
あさこ?

あさこ:ん?
狂くん?
声変わりした?

俺の声は引くく声変わりをしていたのだ

俺:自分でわわからんけど
低くなったと思う
よく気付いたな!

あさこ:そりゃわかるよー
なんかちょっとショックだなぁ
狂くんの昔の声きけると思ったのに

俺:はあ?
じゃあ切るぞ?

あさこ:嘘だよ
今の声もかっこよくてすきだよ

俺:なんだそれ

20.30分俺が転校した後の話しを
あさこはしてくれた

あさこ:ところで、そっちの生活は
上手くやれてんの?

俺:はぁ?俺ぞ
上手くやるも何もクソ田舎だから
学校も人数すくねぇのよ

あさこ:狂くんの事だし
彼女とかいそうだね

俺:だから田舎だからばばあばっかなんだって笑
それに彼女とかいねーよ!

あさこ:ほんとかな?
あ、今度の連休空いてる?

俺:あぁ、別になんもねぇよ

あさこ:じゃあ、岩とみのもでそっち遊び行っていい?

俺:いいけど電車で一時間半くらいかかるよ

岩とみのもは大水の小学校で仲良かった友達だ

あさこ:最寄駅なんてとこ?

俺:佐泊駅だよ

あさこ:ok
また予定決まったら前日に電話するね

俺:あ、俺あんま家いねーから
こっちから電話するわ
じゃあ土曜日にかけるわ

あさこ:わかった!
あまり遊びすぎずだよ

俺:おー

あさこ:バイバイ

がちゃ
電話をきった。

一気に昔の思い出が懐かしくなり
俺は直樹と作った秘密基地に行った。

この秘密基地はやけに落ち着く
物事を考えたり思いにふけるのには最適だ。

俺はタバコに火をつけ
肺の奥まで煙を吸った。
小6から隠れては煙草を吸い
いつしか肺に入れるまでになり
一種のニコチン中毒だった。

当時は今と違い
自販機で簡単にタバコと酒は買えた。

250円のセブンスターだ

夕方家にかえると
退院した親父がいた。

家の中は険悪なムード。
俺はその空気を感じたが
外には出ず
TVをつけた。

親父が母親に向かい
ちゃんと言えよって
仏頂面で言った。

母親は泣きながら

母親:狂くんごめん
もうあんた達を育てていけれない

泣く母親に
俺はいまいち意味がわからず

俺は家を出た。
向かった先はとしの家だ

としのいえは
母親がおらず
親父、祖父母、姉と言った家族構成だ

とし:おう!あがれや

としの部屋は離れにあるプレハブだ

とし:なんかあったんか?

俺:いや遊びたくなって

とし:まぁタバコでも吸おうや

お互いタバコに火をつけて
ゲームしたり、雑誌をみたり
音楽を聴いて過ごした。

夜中4時ごろ
俺一回家帰るわ!

とし:じゃあ学校で会おう

俺:わかった、ありがと

俺はとしの家を後に自宅へ戻った。
自宅に入ると親父はいない。

母親と姉が寝てた。
俺も眠りにつくと
朝早く物音で目を覚ました。

ふと時計を見ると
9時半だった

家の窓からちょうどバス停が見えて
母親がバスを待ってるのを発見した。

俺は、仕事に行ってるんだと思い
タバコを吸って
風呂に入りゆっくりと学校へ向かった。

これが俺が見た母親の最後の姿だった。
母親はこの日家を出て行ったのだ。

その日家に帰り20時過ぎても
母親は家に帰ってこず
俺は姉に言った

俺:お母なんかあったんやねん?

姉:知らんよ

どんなに待っても母親わ帰らず
寂しい気持ちと不安な気持ちが続いた。

俺は祖父母に尋ねたが
祖父母も知らないと二つ返事だった。

その日を境に学校には行かなくなり
母親の帰りをずっと家で待ってたのだ。

一週間がすぎ
ようやく母親に言われた最後の言葉を思い出し俺は理解した。

俺は捨てられたんだと。
悲しくて、絶望感に打ちひしがれた。

姉も気づいており
日に日に母親の事を口にする事はなくなった。

俺は母親に捨てられたショックで
初めての自傷行為をした。
自殺ではなく
耳に安全ピンで一気にピアスを四つあけた。

痛みと共に感じた事のない
安心感を覚えた。

その日の夜
電話がなり母親かと思い慌ててでたら
あさこだった

あさこ:狂くん?
大丈夫?
なんかあったんやないん?

俺:なんで?

あさこ:だって約束の土曜日先週だよ?
連絡待ってたのにこないから
心配で

俺:あぁ、大丈夫

俺は忘れていた

あさこ:今週の日曜みんなで
電車でそっち行くから
11時ごろ駅で待ち合わせできる?

俺:おぉ、いいよ

あさこ:必ずきてね
お土産も沢山持って行くから

俺:わかったよ
待ってるよ!

電話をきり
母親じゃなく落胆した。

日曜は明後日か
寝たら起きれんし
オールで行くかと決め

俺は土曜日まで
としの家へ行った

とし:ピアスかっけーやん
いたかった?

俺:痛くはないけど開けた後にジンジンする

とし:俺もあけようかな?

俺:開けたらいいやん
お揃いのピアスつけようや

とし:いいなあそれ
狂なんであけた?

俺:安全ピンよ

とし:ピアッサーで開けた方がいいんやね?

俺らの村でも隣町の市街地にも
まだピアッサーは手に入らない代物だった

俺:でもどこも売ってねぇやん

とし:そうやな
よし、安全ピンで俺もあける

そっから一時鏡ととしの睨めっこがはじまった

俺は笑いながらはよあけよなとちゃかした

とし:いたっっ

安全ピンの先っちょが耳たぶに刺さった

とし:これ以上俺しきらんけ
狂あけてくれ

俺:ok.じゃあ一気にいくよ

プチッ

としはビクッとし
開けた耳たぶを鏡で見ていた。

とし:俺もピアスあけたか

俺:もっと増やそう

とし:一旦一個でいいわ

としは痛みに怯えていた

その日の夜
としとずっと一緒にいた。

日曜当日朝

俺帰るわ!

とし:またこいよ
あ、あと学校こいよ

俺:あぁ気が向いたら行くわ

家に帰り
俺はじーちゃんに事情を説明して
5千円をもらって
バスで駅へと向かった。

少し早くついたので
駅近くのコンビニで
ピアスを見ていた。
昔のコンビニはプラスチック製の
ボディピアスが売ってあったのだ。

安全ピンはちょっと太い針だったから
16gの黒いボディピアスを二つ
赤いボディピアスを三つ買った。

時間になり駅に行くと
懐かしい顔がそこにあった。

テレテレ笑いながら岩が
その後にみのも
金髪のちょっと大人びたあさこがいた!

お互いの顔を見てすぐわかり
恥ずかしそうに俺らは合流した。

あさこ:久しぶりー
狂くんも金髪やん
おそろ

俺:お!久しぶり

岩:狂くんめっちゃヤンキーやん

みのも:狂くんかわったなー

俺:俺はヤンキーでもかわってもいません
大人になっただけや笑

たわいもなく会話が弾んだ

あさこ:どこいく?

俺:そやなー
なんもねぇけな
駅から近いのはボウリングや
ボウリングいく?

みんな行こう行こうと言って
俺らはボウリング場へいった

小学生に戻ったかのように
和気藹々と球をなげた

するとじーちゃんがボウリング場に来たのだ
たまたまでわなく
俺を心配して
来てくれたのだ

俺はちょっと恥ずかしくなり
みんなにじーちゃんを紹介した
じーちゃんもボウリングをし
じーちゃんはプロ並みにうまかった!

時間もすぎ
駅近くのファミレスでご飯をたべ
俺らは駅へと向かった。

じーちゃんが

じーちゃん:さぁ、みんなで写真撮ってやる
そこに並んで

じーちゃんは写真を撮るのがすきだ
何かしらすぐ写真をとるのがおきまりで

俺たちは並んで写真を撮ってもらった。
この写真は今もじーちゃん家にあり
俺の宝物だ。

電車時間になり
別れの時

あさこ:今日は凄く楽しかった
やっぱ狂くん笑った方が可愛いよ
それとこれあげる

あさこは大きな紙袋を俺にくれた。

俺:なんこれ?

あさこ:お土産だから家帰ってみて

俺:わかったありがとな

岩、みのも:狂くん今日はありがと

俺:こちらこそ
今度は俺が遊び行くわ
んで3人とも帰りきをつけてな

あさこ:また電話するね
バイバイ

3人を見送り
手を振ってわかれた。

俺とじーちゃんはバスで家にかえった。

じーちゃん:狂は沢山の友達がおるの
友達は困った時助けてくれるから
大事にしいよ
それと学校はもぅ行きたくなったら行け
たまにはご飯食べに家にもよれ

俺はとしの家にいりびたり
家にも帰らずじまいだった。

俺:じーちゃん今日はありがとな
おかげで楽しかった
俺は残りの2千円を渡した

じーちゃん:もう返さんでいい
タバコかお菓子でもかえ

俺はじーちゃんに煙草を吸ってるのがばれていた。

俺:じーちゃんは何で煙草を吸っても怒らんの?

じーちゃん:そりゃな、教師生活30年もしたら色んな生徒に出会うんじゃ
中には家庭の環境で非行に走る奴も多い
かっこつけて吸う奴もおれば
色んな大切な時期に狂は、はいったんじゃ
無理して辞めろ言っても
それが引き金となり反抗する年齢なんじゃ
だから無理して辞めれとは言わんが
外では吸うな
家の中で吸え。
人に迷惑はかけたらいかん。

じーちゃんは俺の中で金八先生の様な存在だった。

その夜久しぶりに
じーちゃん家に泊まり俺の大好きなカレーをばぁちゃんが作ってくれた。

久しぶりに食べる手料理におれはおかわりを何杯もした。

じーちゃんと風呂に入り
気持ちもどこか落ち着き
明日学校行ってみようと気持ちで
床に着いた。
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