明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします

祟り神と化け猫


 (みお)は永い眠りの中にいた。
 いくつもの春・夏・秋・冬を越え、魂がぼんやりと揺れる。

 哀しみ。苦しみ。恐れ。
 そんなものに塗りつぶされていた心が、やっと凪いだ頃――――。

「にゃあ――ぉ!」

 大好きだった飼い猫の鳴き声が聞こえ、澪は目を覚ました。

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