婚約破棄されたけれど、10年越しの初恋を諦めきれません
両親が目を細め、会長が微笑み、司さんだけが、わずかに頬を赤らめて視線を逸らした。

——この気持ちが、伝わっていればいい。

子どもの頃の憧れじゃなくて、今の私の、覚悟を込めた“愛”として。

司さんは、しばらく無言だった。

茶碗に手を添えたまま、じっと考え込むように目を伏せていた。

静寂。
あれだけ盛り上がっていた場が、嘘のように静まり返る。

やがて——重い口を開いた。

「……確かに、両家にとっては素晴らしい縁だと思います。」

その声は、冗談でも社交辞令でもなかった。

司さんは、まっすぐに父や久遠会長を見ていた。

「特に、久遠商事にとって——望月グループのご令嬢との縁組だなんて、願ってもいないチャンスだと思います。」

私は思わず、うんうんと頷いた。

司さんも、ようやく前向きに考えてくれたんだ。

そう、信じかけたその時——

「ただ……」

その一言で、胸が冷えた。
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