婚約破棄されたけれど、10年越しの初恋を諦めきれません
「澪さんは、まだ若い。たった二十歳で、将来をすべて決めてしまうのは——重い話だと思う。これから先、俺への気持ちが変わるかもしれない。」

……まさか。

私は小さく息をのんだ。

“司さん、私の気持ち……疑ってる?”

「……どうでしょう。」

司さんは私に視線を向けた。

その目は、どこまでも真剣で、優しかった。

「婚約はする。でも——五年後、澪さんの気持ちが変わらないのなら、その時、結婚しようというのは。」

空気が止まった。

私にとっては、今この瞬間にだって結婚したいくらいだった。
なのに——五年、待てと?

私の気持ちが“本気”かどうか、その“証明期間”が必要だと、彼はそう言ったのだ。

それが誠実さなのか、それとも距離を置くための方便なのか——
私には、まだわからなかった。
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