婚約破棄されたけれど、10年越しの初恋を諦めきれません
「変わりません!」

私は思わず立ち上がりそうになるのをぐっとこらえて、声を張った。

「この先、一生、司さんだけを愛すると——誓えます!」

空気が揺れた。

両親も、久遠会長も、言葉を失って私を見ている。

でも、私は一歩も退かない。

だって、今ここで伝えなければ、きっと後悔すると思ったから。

司さんは、そんな私をじっと見つめていた。
そして、ふっと微笑んだ。

「ありがとう。」

その声は、とても優しかった。

「でも……それが本気なら、五年後も俺を選んでくれるよね?」

その瞬間、店の中庭から**鹿威し(ししおどし)**の音がコーンと鳴った。

まるで、ふたりの会話に静かに区切りを入れるように。

——やってやろうじゃないの。

私は拳を握った。
五年? そんなの、何年経ったって変わらないって証明してみせる。

こうして——

私たちは**“五年後の結婚”を前提とした婚約**を結ぶことになった。
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