拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 彼女は胸元と背中が大きく開いたドレスを着ていた。きっと、親から公爵家で行われるこのパーティーで良縁を結んでくるようにとでも言われたのだろう。

「な、なんですって!」

 自分のことを言われていると悟った令嬢は羞恥で顔を赤くする。

「あばずれっていうのはあんたのことをっ」
「あら。あなたは今日の主役であるバナージ様とレイナの家族であるわたくしを辱めようとしたってことね。つまり、ダイナー公爵家とショット侯爵家の顔に泥を塗ろうとしたと?」

 フィーヌの冷ややかな問いかけに、令嬢の顔がさーっと青くなる。

(この子、たしか子爵令嬢よね)

 子爵家と公爵・侯爵家では家格が全く違う。もしも怒りを買えばひとたまりもない。
 実際にはレイナに頼まれてやっているのだろうから彼女達に泥を塗る意図はなかっただろう。けれど、そんなことで大目に見る気はなかった。
 ここで黙って見過ごしてしまっては、フィーヌだけでなくロサイダー辺境伯家も舐められてみられるのだ。
  
「ねえ、どうなの?」

 フィーヌはさらに問いかける。
< 101 / 193 >

この作品をシェア

pagetop