拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「お祝いの挨拶をしたいのか?」

 ホークは器用に片眉を上げる。

「いいえ、全く」

 フィーヌははっきりと言い切る。
 祝福する気持ちなど、海の砂一粒程度も持ち合わせていない。

「奇遇だな。俺もなんだ」

 ホークはつまらなそうに言う。

「だから帰ろう」

 ホークは決定事項と言わんばかりにフィーヌの手を取ると、出口に向かって歩き出す。
 きっと、フィーヌが居心地が悪く感じているのに気付いて早めに連れ出してくれたのだろう。
 
(ホーク様がいてくれたおかげで、助かったわ)

 繋がれた手をぎゅっと握ると、返事をするように軽く握り返された気がした。
 
 
   ◇ ◇ ◇

 
 結婚式の翌日、ホークは国王に謁見するため王宮にいた。
 
「ホーク・ロサイダー、ただいま参上いたしました」

 ホークは肩肘を床につき、頭を下げる。

 「うむ。長旅ご苦労であった。面を上げよ」 

 謁見室の一段高くなっている場所にある玉座に座っている国王が、鷹揚に頷く。
 ホークは顔を上げ、国王を見上げた。

「半年ぶりだな、ロサイダー卿。こんなに早くそなたと再会できるとは思っていなかったぞ」
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